「でも、俺はずっと晴山さんのこと、知っていたし、仲良くなりたいって思ってたんだ。
選挙では敵同士になっちゃうけど、晴山さんと知り会えて嬉しいよ」
よろしくな、と言って笑った須谷くんに、私はびっくりしながらも「こちらこそよろしくお願いします」と小さく頭を下げた。
こんな目立たない私のことも知っていてくれたなんて、須谷くんってすごくいい人……!
「はぁー、でも、速水の推薦人が晴山さんだなんて落ち込む。晴山さん、人前に立つのとか嫌がりそうだなーって思ってたけど、そうじゃないなら俺が頼めば良かった」
はぁ、と本気で残念そうに言う須谷くん。
────そのときだった。
「ふーん、須谷は私じゃ不満なんだ」
須谷くんの背後から、低めの女の人の声が聞こえた。
その声に聞き覚えがあって、私は背の高い須谷くんの横からその声の主を確かめようと顔を出す。
その拍子に、さっきまで私を掴んでいた速水くんの手がスルリと手首から離れていった。

