好きになっちゃダメなのに。


『2-5 須谷 要(すたに かなめ)』


さっき名簿で確認した、ライバルの名前を思い出してみる。


……うーん、やっぱり私は知らないなぁ。

5組っていうことは、私と同じ棟だよね。

どこかですれ違ったりとかはしているかもしれないし、もしかしたら一言くらい言葉を交わしたこともあるのかもしれないけど。


申し訳ないことに、その人に関する情報が全く思い浮かばない。

顔すらわからないんだけど。


「明日にでも、友達に聞いてみたら。誰に聞いたって、知ってるに決まってるから。知らないことを驚かれるに決まってる」


テストで毎回良い順位に入ってるからって、そこまで言うかなぁ?

速水くんみたいに、トップから落ちたことがなくて、生徒会にも入ってて、しかも顔も整っているっていうなら、有名人だって言われても分かるけど。


「まぁ、それはいいや。選挙まで日もないし、相手を気にしてる余裕なんかないよ」

速水くんはサクッと話題を変えると、近くにあった机にファイルを広げた。

そのファイルを覗き込むと、これから選挙までの2週間にやることのリストと、スケジュールが書いてあるプリントが出てくる。