好きになっちゃダメなのに。


「よーし!じゃあ今日は絶対失敗できないぞー!」

夕衣さんの元気のいい声と共に、私も作業を再開させる。


……こんなにいい先輩に恵まれて、私は本当に幸せ者だ。

さっきまであんなに胸を重くしていたモヤモヤが、少しだけど軽くなったような気がする。


「……喜んでくれるといいな」

クッキー生地の鉄板に並べ、オーブンに入れる。

ピッ、と時間をセットしながら、思わずそう呟いていた。


美味しく焼けてね。


速水くんに、少しでも元気を届けられるように。

笑顔になってもらえるように。


美味しくできるクッキーを想像しながら、私は速水くんに今から会えないかどうかを訊ねるために、スマホに指を滑らせた。