好きになっちゃダメなのに。


驚きを隠さない声で陽がそう言うと、龍也と呼ばれた男がもう一度笑う。

「まぁまぁ、ヒナ、何をそんなに興奮してんだよ。落ち着けって。
遊びに来たら、ドアんとこに可愛い子がいたから、おしゃべりしてただけだし。
……な、そうだよな?明李ちゃん」

いつの間にか、晴山さんの手は離していたらしい。

男は軽く笑いながら晴山さんに同意を求めると同時に、ベンチから立ちあがると、先程まで晴山さんの手を掴んでいた手を陽の方に伸ばして。

────ぽん、と当たり前のように陽の頭に手が触れた。


「……そうやって軽くナンパするの、やめた方がいいと思うけど」

不機嫌そうな声で陽はそう言いつつも、触れてきた手を払いのけようとはしなかった。

不機嫌そうな声、というよりは、不機嫌を装った声、に聞こえるのは俺の気のせいか?


「晴山さんも、ごめんね。こんな恐い顔したゴツい男に声かけられて、怖かったよね」

「え!?い、いえ、そんな」


陽に急に話を振られた晴山さんは、びっくりしたように慌ててそう言った。