【短編】失う度に美しくなる俺の愛子


俺は元々、普通の人とは違うとわかっていた。
感覚が特に違う気がした。いや、確実にずれている。


俺は昔から女に性的な興味を持たなかった。恋愛的にも好きだと思った事はない。

今までの彼女はみんな好きでもないのに付き合っていた。


高校1年の時に1人目の彼女を振った。

キスも下手だし、飽きたからだ。

俺が別れを告げた時の彼女の顔は悲しみに覆われていた。

そしてその顔が、一番美しいと感じた。

何度か女と付き合い、振るうちに俺は気づいた。

愛するもの、大切なものを失う女には美しさが備わることを。


悲しむ女の顔を見ると、俺の心臓は高鳴り、体が熱くなるのを感じた。

そしてしばらくするとスーッと風がひとつ胸を突き抜けるような爽快感が出てきた。

初めてそうなった事はよく覚えている。

悲しみを持つ女は美しい。いつまでも見ていたいと思った。