【短編】失う度に美しくなる俺の愛子


それからどれくらいの時間が経ったか覚えていない。

ただ覚えてるのは美しい愛子の事だけ。

乱れ、喘ぎ、時折微笑む愛子はとても美しかった。

俺が美しくした愛子。

俺だけの愛子。

俺だけの美しい愛子。


甘くねっとりとしたこの時間もいよいよクライマックスに向かって行った。

壁に背をかけて座る俺の腰の上で繋がる愛子。

愛子は嬉しそうに俺を見た。


「私達、まだ婚約でしょ?早く結婚したいな」

「色々とあって延期だったからな」


愛子と手を繋ぎながら俺が言うと愛子は悲しそうに繋がった手を見た。

その悲しみを帯びた顔が最高に美しい。

その顔を見るのは今日で最後。だが究極に美しい愛子を見るのはこれから。最初で最後の楽しみだった。