【短編】失う度に美しくなる俺の愛子


俊介の手紙は警察に知らせない事にした。

私だけの秘密。


そして私は一生独身を貫く事にした。

私は俊介を愛してる。俊介が思ってる以上に愛してるから、もう俊介以外の人を愛せない気がした。



俊介が死んだ寝室の棚を更に整理していると、ナイフや遺書がある引き出しのそこに1枚の厚紙が置いてあった。

その引き出しだけだったから、どうしてなのかと思い、厚紙を取った。


「あっ、」


私は引き出しの底を見た途端に胸がキュッと苦しくなった。

喉も詰まるように苦しい。


「あっ、うそっ、嘘でしょ」


引き出しの底にあったのは婚姻届だった。

ちゃんと俊介のサインが書いてある。

そして婚姻届の上には指輪が2つあった。


自分の欲の為に悲しい思いをさせて、申し訳ないなんて書いてたくせに、

傍にいてもらいたい時に傍にいてくれて、私が結婚したいって言ったから婚姻届と指輪なんか用意しちゃって。

結局一番わがままなのは私じゃないの。


私は溢れる涙を制御出来なかった。


好き。大好き。愛してる。悲しいよ。俊介が死んで、悲しいよ。


私は知らない内に俊介が求める私になっていた。


深い悲しみと絶望が私を襲った。

多分私は俊介が最後に見た時よりも美しくなってるかもしれない。


涙がポロポロと溢れる。

もっと沢山言えばよかった。




愛してるって