マンションのエレベーターで4階まで上がり、俺の家の扉まで歩く。

今日はいつもより歩調が早い。

1つ、2つと扉を過ぎると見慣れた表札があった。

倉本俊介
佐々野愛子

俺と俺の彼女の名前が書かれている。今日でこれを見るのは最後だ。

俺は表札を指でなぞる。

同居をしている彼女の愛子は掃除好きだからか、表札には汚れ一つ無い。

俺の名前をなぞったあと、愛子の名前をなぞった。

愛子と結婚していればよかったかな。

少し自分への申し訳なさがあった。