空と彼と私

「まあ、噂もそうだけど、いろいろとめんどくさい」


考えたけど、説明するのがめんどくさくなって、結局、こんな言い方しか出来ずにいた。


そんな私に気にもとめず、征司は、窓の向こうに視線をむけたまま。


私は、その征司の背中を、目に焼き付けたくて、じっと見つめていた。


いつか征司が遠くに行くような気がして、そうなっても忘れないように刻み込むつもりで……。


静かな中に、征司のスマホがけたたましい音で鳴り響いた。


「はい」


私と話をする時より、数段低い声。


征司にとってもよくない電話のようだ。


ただ会話をしなくても、こうして少しでも傍にいられたらよかったのに、それすら邪魔をするスマホを恨めしく思った。


きっと、見つめる私の視線に気づきながらも、話し続けているに違いない。