空と彼と私

どのくらいその状態が続いたか定かではないが、ゆっくりとバイクのスピードが落ちた。


彼が、バイクを止めると、私は、キョロキョロと首を左右に振って辺りを見回した。


それは、私の全く知らない場所で、少し強めの風が体を擦り抜けていく。


「来いよ」


バイクをおりた彼の言葉に頷き、メットを外す。


何もない。
あるのは、まだ散っていない少しの色づいた葉がある木々と、小さな壊れかけのベンチ。


ゆっくりとした歩調で、歩いていく彼の背中を見つめながら、一定の距離を保ちつつ、ついて行く。


小高い丘。


そこで、彼の足はぴたりと止まり、振り返った。


風に靡く自分の髪の毛が、顔にかかる。


その隙間から、彼の無表情の顔が見えた。