空と彼と私

優しい。優し過ぎる。


礼なら、昨日、星空を見せてくれたのに。


二つもいらないのに。


それでも、征司がそう言うのなら、それでもいい。


「……そっか」


言葉を続けない私に、少し苛立った声をあげた。


「言え!麻衣が言わなくても、すぐに面が割れるぞ」


脅迫、もしくは強制のように聞こえるその言葉も、私の汚れた姿の前では、綺麗で優しく聞こえる。


「それでも言わないよ」


「なぜ、庇う?」


「庇ってないよ。ただ、征司に同情されたくない。これ以上、惨めになりたくない」


汚れに汚れたタオルを見つめながら、ギュッと唇を噛み締めた。


―――ガシャーン


征司が苛立ちを破れたフェンスに向けた。


足で蹴り飛ばしたフェンスは、音が反響し、形をまた少し変えた。