空と彼と私

いつの間にか、顔を上げてそれを見ていて、私は、征司に手首を掴まれていた。


余りの早業に、呆然として口が開いたまま。


「失せろ!」


怒気を含んだ声がすぐ横で聞こえている。


一瞬、それは、私に言われたかと思ったが、男が、謝罪をし、一目散にいなくなった。


男がいなくなると、征司の手が放れていく。


少し間をあけ、しゃがみ込むと征司は無造作にポケットから煙草を出しくわえた。


征司の目は、フェンスに向いたままで私と重ならない。


私は、征司の煙草を吸うしぐさを見ていた。


沈黙。だけど、居心地はいい。昨日も今日も。


そんな空気に心地よさを感じてしまう私は、征司に近づき過ぎたことをこの後、征司の行動によって、すぐ後悔することとなった。