空と彼と私

「す、すみません。すぐ、追い出しますから」


男は、私の腕を掴んだまま何度も頭を下げている。


私は、一番知られたくない人に知られたと顔を俯けたまま、あげられなかった。


この声は、忘れるはずがない。


昨日、そして今し方教室で聞いた声なんだから。


この顔だけは絶対にあげちゃいけない。


私と気づかなければいい。


征司に助けてもらったのに、このザマじゃ征司が傷つくから。


男に引っ張られ、威圧的視線を抜け出した。


そう思った時だった。


「放せ!麻衣の手掴んでんじゃねェ」


「「え!!」」


私と男の声が重なりあった。


―――ガッシャーン


フェンスが大きく揺れて、掴んでいた男の姿がそこに瞬間移動した。