空と彼と私

征司の綺麗な指先が、私の頬を滑り落ちる。


その眼差しは、真剣で、覚えていろと言われているようだ。


「……麻衣」


その指先の感覚がなくなったと同時に、吐息交じりの声が耳元でしたと思ったら、きつく、征司に抱きしめられていた。


ドキドキと加速していく心臓の音が、征司に聞こえないか心配になるけれど。


征司は、しばらくした後、その腕を解いて、チュッと触れるだけのキスを唇に落とす。


―――えっ!?


全ての思考が停滞した私の横を、何もいわずに、すり抜けて、バタンとドアの向こうに消えた。


痛いくらいに抱きしめられた感覚と、柔らかい唇の感触だけを残して――…。


それから、パトカーのサイレンの音がするまで、私は、身動き一つ出来ないでいた。


「麻衣」


次に聞こえたのは、龍さんの声。


これには、背筋まで伸びた。