空と彼と私

フーと大きく息を吐き出すと、ジロッと私を見る。


裏切り者への怒りに狂っていたのに、餌を見つけた猛獣の目に変わる。


「ハハ。神はまだ私を見捨てていない。ハハハッ」


私を羽交い締めにして、盾のようにして、歩き出した。


このままドアの向こうへと行くつもりらしい。


院長自らがそんな行動するなんて、明らかに不審がられるだろうに。


妙に冷静な自分にも驚愕だけど、


もっとびっくりすることに、机の下の彼が、下から私を見つめていた。


せ、征司!?


あげそうになる声を、唇を噛み締めて漏らさないようにした。


どういうことかさっぱりだけど、征司がいるだけで不思議と気持ちが落ち着く。


後ろから押されながら、院長がドアに手をかけたその時―――


「そこまでだ」


征司の低い声がこだました。