空と彼と私

私の腕をがっちりとガードして逃げる余地さえ1ミリも与えてはくれない。


「よしッ、頑張るぞ。大丈夫よ、私のカンは当たるんだから心配いらない」


そんな根拠もない話で、ついに通用口に来た。


いったいどうやって内部に入るつもりなのかとドキドキしていたのに、

「痛っ……いたたた」

と古典的な小芝居が始まった。


いや、まさかこんな小芝居が通用するはずはない。


「看護師さん、お願いッ。先生のところまで連れていって」


「はぁ」


気のない返事を返せば、


「痛いよ。お願いっ」


そんな弱々しい声なのに、その目は、変化して鋭くなっていた。


「ほら、急いでやんな」


なんと!こんな小芝居におじちゃんは乗ってくれて、なんなく、私たちは、潜りこむことに成功した。


薄暗い長い廊下を、息を潜めて進んで行く。