空と彼と私

インターホン越しの声は、年配の女性の声で、お手伝いさんっぽい。


厳重な玄関から出て来た人を見て、会釈をした。


ドキドキとしているが、大丈夫。


絶対に出来る。


言い聞かせるように、自分で小さく手をギュッと握った。


通されたのは、リビングではなく、書斎でたくさんの医学書が並んでいた。


「旦那様が来るまでこちらでお待ち下さい」


そう言って一人にされると妙に落ち着かない。


どこかに監視カメラがあるかもしれないと勝手に思い込み、したことといったら、手に三回“人”という字を書いたことだ。


昔から緊張したらそうするもんだと母が言うからしてみたが、何の効果もない。


気休めにすらならない。


―――そして、


征司を監禁したと思われる主の高代貴一郎が、現れた。