空と彼と私

咄嗟に耳を塞いだが間に合わなかった。


「復讐。アイツは、死んだ女の為に、それだけの為に生きてきた」


あぁ、なんて残酷なんだ。


それほどにまで、好きだった女の子に、私が勝てるわけがない。


亡くなってしまっているから尚更。


「お前の目が、女の目とそっくりなんだと」


終わった。何もかも終わった。


少しは私を見ていてくれていると思っていたのは、大きな勘違いってことか。


「どうする?他の女の為に動くアイツに手を貸してやるか?」

「…………」

「いやなら、このまま家まで送ってやる」

「イヤです」

「あぁ。おい、車出せ」


運転手に龍さんは声を掛けた。


それを遮るように、声を張り上げた。


「手を引くのがイヤです。私が、征司を助けてあげたい。手を貸すのではなくて、手を握って――」