空と彼と私

何を言われるか不安で仕方がなくて、真っ青になっているはずだから。


「院長の名前は、高代貴一郎」


「たかしろきいちろう」


アホな私は、覚えようと復唱した。


「高代と製薬会社の間に、不正な金銭の授受がある。その証拠を掴むこと。それから、屋敷の正確な見取り図を用意しろ。あとは、俺が手伝ってやる」


そんなこと……。


この私が出来るはずもない。


でも、私が動かないと征司が、自由になれない。


「どうして?」


「あ゛?」


「どうして征司を助けようと?」


極悪非道の極道なら、征司をほっとくことも出来るのに。


「勘違いすんじゃねェ。まりあに頼まれたからに決まってんだろ」


「まりあちゃんに?」


「おめェがウジウジかメソメソかしんねェが、まりあが心配してる。まりあを安心させる為以外に理由などねェよ」