空と彼と私

慌てて、その先を止めた征司の声が大きい。


それが面白いらしく松さんと呼ばれた人の豪快な笑い声が響いた。


つられて笑う周りのヤクザの人たちの声がまざっていく。


そこへ―――


「楽しそうだな。ん?人のラブシーン見て笑ってんなよ。おめェら趣味悪ぃぞ」


と。若頭、龍さんの登場で、一気に空気が変わった。


マズイ。この状況はマズイ。


征司の腕の中ですっかり震えが止まった私は、慌てて抜け出そうと身をよじった。


それなのに、

「違ェよ。これからってところで、邪魔してんだ」

と、何故か離してくれずに、近づいてきた顔。


ハンパないくらい心臓が暴れている私に気づいているはずなのに、それを楽しむ征司のが趣味が悪い。


「キスでもしとく?」


耳元で囁く征司に、腰が砕けそうになりながらも、横に首を振った。