空と彼と私

高そうな黒大理石のような床。


もう、あんぐりして、絶対変な顔になっているはず。


「せ、征司」


辛うじて征司の制服を引っ張って、現実を実感していた。


「大丈夫だ。ここにいるオッサンは腕も立つ。心配いらねェ」


いや、いやいやいやいや。


そうじゃない!


目にするもの全てが普通じゃないものばかり。


木彫りの熊の置き物は見たことがあるけれど、月のワグマの剥製は見たことがない。


博物館かお城で飾ってあった錆びた刀は見たことがあるけれど、綺麗に磨かれた日本刀が壁にかけてあるのなど見たことがない。


場違いな場所に迷い込んだ小鳥のように、自然と沸き起こる体の震え。


それは、歯がカチカチとなる程で、隠そうにも隠せない。


「…………」


突き刺さる視線から隠すように、征司が動いた。