空と彼と私

左右に続く扉が三つと正面に一つ。


その正面の扉を躊躇うことなく開けた。


鍵がかかってないの?とかピンポン押さないの?とかそんな疑問は、中に入った瞬間に吹っ飛んだ。


玄関の真正面に、大きく描かれた龍が口を開けている。


それが重厚な扉だということ。


おそらく二重扉で、こっちが正式な扉なんだろう。


「これって、防弾?」


「よく、わかったな」


……え!?


驚愕して、間抜けにも、声が洩れたらしい。


「ここは、若頭の応接間みたいなもんだ。上に、若頭の部屋がある」


そう教えてくれたのは、征司じゃない。


中にいたいかにもなお兄さんだ。


「どうぞこちらに」


そう言われて、開けられた重厚な扉の向こうに目を見張った。


黒一色。


黒光りする応接セット。