空と彼と私

「麻衣」

「ん?」

「嫌じゃねェか?」


この場に来てまで、そんなことを言う征司が可笑しくて、クスッと笑った後、見上げて伝えた。


「気にしないで。ここに来たのは自分の意思。征司に関わったからじゃない。ただびっくりしただけ」


きっと顔が強張っていたから心配させてしまったのだろう。


だが、噂の龍さんの彼女さんと友達になりたいのは、本当で、自分で決めたこと。


そのうち先程のような人達にも慣れるはず。


「そうか」


と呟いたあと、くいっと手が伸びてきて、いつの間にか私は征司に抱きしめられていた。


先程よりも、こっちのが心臓に悪い。


ドキドキが征司に聞こえてしまう。


ドキドキのせいで長いようなそれは、一瞬で離され、目的地についた時は、何食わぬ顔でエレベーターを降りる征司を追いかける形になった。