空と彼と私

「征司がベッド譲ってくれたおかげでね」


「フッ。……そうか」


「あのッ。ありがとう。重たかったでしょ」


「あぁ」


「…………」


ここは普通、そんなことないよと言う場面じゃなくて?


キョトンとした私の顔を、動物園にいるパンダを見るかのように、張り付く程の距離で見てきた。


「ワワッ。な、何?」


「あ、悪ィ。コンタクト外してッから」


その至近距離で見た征司の目は、確かに、色がなく、日本人独特のブラックだった。


そのせいか、やけに、身近に、感じられる。


見た目の距離感だけでなく、手を伸ばせば、何をしても届きそうな。


そんな錯覚が起きる。


ふんわりと優しく微笑んでいるなんて、おかしな話なのに。


「麻衣。目やに、ついてる」


「え……」


ありえない。