空と彼と私

「もういい!帰る!て言うか、何で此処に連れて来たのよ!」


完全な八つ当たり。


こんなヒステリックな声にも、冷静な征司の眉間には、皺一つ出来ない。


それが私をまたイライラとさせた。


「あそこに置いておけないだろ?」


「なら、家に送ってくれればいいじゃない!」


「麻ー衣。落ち着こうか。お前、アルコール入ってんだろ?」


「あっ……」


衝撃が大きすぎて、忘れていた。


北條と来た直後、待っている間、カウンターで口にしたんだ。


水だと思って、ごくごくと少し飲んだのだった。


「自分じゃ気づかないかもしんねェけど、お前、酒臭い。そんなんで、親の元へ帰せるわけねェだろ」


「……プッ!」


「あ!?」


我慢していたが、突然笑い出した私に、征司の眉間には、今度は、すんなりと皺が……。