空と彼と私

至近距離で止まったままで、唇が触れられない。


待っているわけではなくて、征司に触れたら、止まらなくなりそうで。


気持ちが溢れて、後にひけそうにないから。


「しねェの?」


目を合わせたまま、コクンと頷いた。


「フッ。わかんねェやつ。そういうの、嫌いじゃねェけど……」


征司の指先が、唇をサラリと撫でた。


「悪いが、麻衣とは出来ない」


さっきしたのに?


それもギャラリーがいっぱいの前で。


二人きりの密室。


腰に手がまわり、唇に触れられたのに?


そんなに魅力がないのかと、溢れ出す涙と共に、ガクッと肩を落とした。


「ごめんなさい」


身を捩るようにして、スルスルと抜け出し、玄関に向かう足を、征司の追いかけてきた腕が止めた。


「待てって」