それを思い出し、突っ立ったままでいると、ポンッと頭の上にヘルメットが乗せられた。


「なら、今度付き合う時は、ちゃんとオカンの言うこと聞いとけ!」


エンジンの音がしたと同時、バイクに跨がった時、まるで子供に言い聞かせるかのような言葉が聞こえた。


小さな子供と同類だと馬鹿にする、失礼なことを言われているのに、征司が言うと、そのハスキーな声色のせいか、妙な説得力がある。


無意識に頷き、心に強く誓うこととなった。


征司の背中は、彼の心と同じで温かい。


夜の身をきるような寒さを忘れさせてくれて、気がついた時にはもう、私が教えたコンビニの前に来ていた。


「今日は、ありがとう。おやすみなさい」


バイクから降りた私は、言葉をかけたけど、それに答えることなく、バイクは猛スピードで走り去っていった。