空と彼と私

耳をつんざく音がなくなり、一気に静寂の中へ放り込まれたせいで、あちこち麻痺を起こしている。


頭がぼーっとするし、まだ、何か音が聞こえている気もする。


そんな中、一番麻痺していたのは、唇。


征司に、触れたこの唇が、いつまでも熱を持っている。


外気の冷たさなんて、この唇には、効かない。


「今日は、バイクじゃないの?」


唇の熱を冷ますのは、バイクがいい。閃いた私は、無言で、どこまでも引っ張っていく征司に、聞いた。


「あぁ」


短すぎるる返事に、答えだと思わず、再び、同じ質問を投げかけた。


「んだから、ちげーって言ってんじゃん」


と、言われるまで気がつかなかった。


「ゴメン。で、何処へ行くの?」


「家」


「征司の?」


「あぁ」


会話終了。