空と彼と私

やがて顔をあげた彼女の真剣な眼差しに、耐え兼ねた私が手を離そうとすると、そんなことを言う。


「気にするなって言われても……」


「大丈夫だ。ここから先は、神龍会の若頭の許可がないと入れねェ。お前が、ここに来たってことは、そういう事だろ?」


なんとも恐ろしいことを言い放った。


Vipルームにたどり着いた頃には、龍さんは、ビールを飲んでいて、

「よ!遅かったじゃねェか。文句聞いてやるよ?」

と、その整った顔を征司に向けた。


「別にありませんよ。ただ、用がないなら帰ってもいいッスよね?」


それに返事をしない龍さんは、私に視線の先を変えた。


「麻衣。今度、そいつと俺の家に来てくれね?まりあが会いたがっている」


「…………」


綺麗。すごく綺麗。


まりあは、彼女さんの名前なんだろう。