空と彼と私

「麻衣」


名前を呼ばれただけで、全身の毛穴が収縮して、鳥肌がたつ。


けれど、それは、恐怖からではなくて、自分の名前が、物凄い色っぽく呼ばれたから。


「は、はい」


もっとかわいい声ならよかった。


なんでこんな色気のない声色なんだろう。


「無理矢理連れて来られたんだろ?悪ぃな」


ドカリと目の前の高級な皮張りで、彼らに似合うソファーに腰を下ろした龍さん。


…………だと思う。若頭よりも、先に座る補佐はいないから。


「あ……いえ。いや、……はい」


彼らの前では、嘘をついてはいけない。


そんな目線に飲み込まれ、すぐさま訂正した。


「ハハ。緊張しなくていいよ。俺、アキラ。で、その偉そうなのはわかるよね?神龍会若頭の神崎大貴。またの名を、龍。それからそっちが、ショウゴ」