空と彼と私

星空に向けていた視線を足元にずらした時、

「おうし座って知ってるか?」

と、思いがけない言葉が彼の口から発せられた。


それに驚愕して、足元に落としていた視線を彼に向けると、彼の目は、先程の私と同じように、星空を捉えていた。


「ううん、わからない」


彼の煙草を挟んだ指が星空を指差した。


「そこが、オリオン座だろ。そっから、こっちに少し動いたところにある赤い星、そっちがおうし座だ」


彼の指先から昇る紫煙が、揺れては、消えていく。


まるで、そのおうし座に向かっていくかのように昇っていく。


「見つけた?」


彼の煙草の紫煙を見ていた私は、当然、探すことをしていなかった。


「ゴメン、わからない」