空と彼と私

三階を過ぎ、二階に着く頃、かなり激しい物音が聞こえる。


ただ、そこに、罵声や怒声など、人の声は、一切聞こえない。


聞こえるのは、恐らく椅子などにガタガタと物があたる音。


二階に足を踏み入れた時、それが、征司が、私に絡んできたチャラい男たちを、殴り飛ばしたり、蹴り飛ばしたりしている音だとわかった。


予想通りの音だが、征司の無言の拳や、足蹴にする姿を目の当たりにした私の顔は、引き攣った。


征司が私の為にしてくれていると思えば嬉しいが、あの綺麗な手を汚させてしまったことが、悔しい。


それでいて、征司の無駄のない綺麗な動きに見とれてしまい、もう気を失っているであろう人に手をあげるのを、止められない。


「おぅおぅ、派手に暴れてんじゃねェか。殺すなよ」


柾木とかいう男の声が、私の後ろから聞こえるまで、それは、続いた。