空と彼と私

二人の視線を避けるように、ジム内を見渡しながら、やっとの思いで、それだけを口にすると、

「マジかよ」


と、北條とかいう男は、頭を抱えこんだ。


「ヤベェな。アイツにばれたら、軽く半殺しにされそう」


なんて、ブツブツ言っている。


「麻衣、お前は、少なくとも、俺ン中じゃ真壁の女だぜ。アイツは、仕事以外で女と関わらねェ」


柾木とかいう男に、そう言われて、一度、心臓がトクンと跳ね上がった。


だけど、すぐに気づく。


私も、十分に、仕事に関係がある女だったと。


だから、少しだけ、たわいのない話をしてくれたのかも。


「クスリって言ってましたよね?」


漸く、普通に話し掛けられるほど、落ちついたので、柾木とかいう男の目を見つめて話し掛けたのだが、

「あ?」

と、軽くキレたような声が、また私を硬直させた。