空と彼と私

それから、押さえ込んでいた男の行動は、機敏だった。


猛ダッシュで私の前からいなくなり、周りの男達も、声一つ出さずに、戻ってくるのを、待っている状況で……。


「逃がしてやるって言ってんだけど」


と、チンピラ兄さんと勝手に今、名付けたこのスーツ男に、呆れた目で、見下ろされた。


「あ……でも、友達がっ……」


タバコを取り出して、私のすぐ横でヤンキー座りで紫煙をあげるチンピラ兄さんは、それだけ言うと理解したらしく、チッと、タバコをくわえたまま舌打ちをした。


「あんた名前は?」

「麻衣です」


そう言うと、目を一瞬だけ細めて、頭をポンッと手でしてきた。


そのすぐ後に、

「お待たせしました」

と息を切らせた眼鏡男。


実際、眼鏡男の今は、眼鏡を外して、上半身裸というスタイルだけど。