空と彼と私

カチッ、カチッと、音が何度も続く。


盾になったつもりでいたが、二人の微妙に開いた距離では間を風が通るのか、まだ、火はつかないでいた。


このままでは、いつまでたっても、火はつかないだろう。


しゃがみ込んで、手で囲い、火をつけようとしている彼を見下ろしながら、そんなことを思う。


こんなに近づいてもいいのだろうか?


よくわからないまま、彼と同じように腰をおろし、私の体と手で、また同じように囲った。


いまだかつて、彼に、ここまで近づいた人を見たことがない。聞いたこともない。


ドキドキと緊張がピークに達する中、風に揺れるライターの炎が、煙草の先にうまくあたり、紫煙があがった。


「……サンキュ」


ここでも彼独特のハスキーな彼の声が、耳を掠めた。