ねぇ、惟月… きっとこのときから、歯車は周り始めたの。 あなたを愛した あたしの初恋。 『初恋は叶わない』その言葉の意味を、あたしは嫌と言うほど味わうのだ。 「ほら、急げよ」 「うんっ」 用意していたコートを着て、マフラーを巻く。 「寒いなぁ…」 「うん…寒いね」 はぁ…と息を吐けば、白い息が出る。 それが面白くって、何回もした。 「美月〜手、寒いんだけど」 「??手袋してるのに?」 「寒いもんは寒いんだ、よッ」