朝ごはんの時間。


学校に行く用意を済ませて、椅子に座る。


テーブルに並ぶ、朝ごはん。


ママが私の目の前の椅子に座った時、いきなりその言葉は私の耳に届いた。


「あ、そうそう。日本に帰ることになったから。」


まるで、どこか近場に遊びに行くような、軽い感じ。


私はママに何度も聞いた。


正気なのかって。


ここはアメリカ。


私が小学校に上がる前に、ママの気まぐれでやって来た。


それから十数年。


日常会話は全部英語になって、むしろ日本語の方が分からなくなった。


マナーも、何もかもが、アメリカ仕様。



何年もかけて、やっと慣れたのに。


「何で日本に戻るの?」


「なんとなーく。アメリカにも、飽きたのよ。」


また。ママの気まぐれで、私の人生は変わった。