また朝がやってきて、なにも変わらずコンビニでバイトを終え、渋谷のムーンライトへ向かった。


ライブは二時間程度。

その二時間が終わってほしくない。


解けそうになると、もう終わりなのかと寂しくなる数学と似ていた。


翌朝の筋肉痛を受け入れる覚悟で波に乗り、全力サーフィン。


インディーズとしては最後のライブを抱えきれないくらい満喫した。


ラズベリースターはライブハウスへ足を運べば運ぶほど、違う夢を見せてくれる。


思い出というキラキラ光る宝物をステージの上から投げてくれる。


それを受け止められるのは、私も含め、ここにいるファンだけ。同じ場所で同じ時間を共有できる、それが幸せ。


いつも以上のライブだった。


でも、今夜は零士と街を歩けない。



ずっとこのライブハウスにいたいという気持ちになって、オレンジジュースをゆっくり飲んでいると、この前と同じスタッフのお兄さんがきた。


「もう、帰りますから」


なにか言われる前に去ろうとすると、そのお兄さんが私を止めた。


「今夜、パーティがあるんです。ラズベリースターのメジャーデビュー記念パーティ。零士があなたにも来てほしいと」


そのお兄さんは私にパーティ会場までの地図をくれた。


「ありがとうございます」


地図を見ると川崎だった。

これもなにかの運命だろうか。