その日の夜。私の姿は、サラリーマンや帰宅する人々でにぎわう駅前にあった。
というのも、私の家の方向を通るバスは最終が夜22時。それをすっかり忘れて、調子の悪いパソコンと戦うように残業をしてしまったから。
バスの時間を思い出した時には既に遅く、仕方なく今日は電車で帰ることにしたのだった。
私のバカ……バスの時間を忘れるなんて……!
でも、もう22時すぎだし彼方くんもきっといないだろう。……念のため、いつもと違う車両に乗ろうかな。
いつもは一番前の車両に乗っているけれど、あえて真逆の一番後ろに乗った私を乗せて電車は走り出す。
彼方くん、今頃なにしてるかなぁ。
友達と遊んでいる?バイトしている?他の女の子と……いや!考えたくない!
……って、未練ありすぎだよ、私……。
「はぁ……」
明日からはやっぱり、バス通勤にしよう。いつもと同じ電車にこうして乗っているだけで、彼方くんのことを考えてしまう。
彼方くんで、頭がいっぱいになる。本当に好きだって、思い知らされる。



