「……七恵、最近変わったよね」
「ん?そう?」
「だって髪型も、ストレートのままでまとめただけで、化粧も変わったし、コンタクトも普通のでしょ?これまでと真逆じゃない」
確かに、最近化粧も変えた。可愛く柔らかく見えるような化粧だったのを、堀深く綺麗めに見える化粧にした。
コンタクトも、色のない普通のタイプ、もしくは日によってメガネにしてみたり。
どれも前までだったら絶対にしなかったようなことばかり。
「……うん、私ちょっと雰囲気変えてみようと思って」
「それは、あの年下男のせい?」
「せいっていうか……なんていうか」
えへへ、と苦笑いをこぼすと、莉緒はなにかを言いたそうな複雑な顔をするものの、言葉を飲み込みため息をついた。
「……七恵がそれでいいなら、いいけど」
「川崎さーん、ちょっとおつかい頼んでもいいー?」
「はーい!じゃあちょっと、行ってくるね」
先輩に呼ばれ、私は昼食を中断して席を立つ。
自分の変化は、彼方くんのせいと言っていいのかはわからない。けど、彼が影響しているのは確かにある。
これまでと同じ格好は、やめる。
だって、彼方くんが『可愛い』って『好き』って言ってくれた自分でいると、いつまでも彼のことを忘れられなくなるから。



