「面白かったー!!」



映画を観終えた私たちは、映画館を出ながら明るい声をあげた。



「まさか宿命の敵の正体が、生き別れた兄だったなんて……悲しいけど燃えちゃうね!」

「うんうん、おまけに死んだはずの恋人が兄の手によってエイリアンとして生きかえらされて……」

「あーもう、次回作が気になるー!」



わーきゃー騒ぐ私たちを、すれ違う人は不思議そうな目で見る。けれどそんなことも気に留められないくらい、映画は面白かったし興奮は収まらない。



「でも七恵もこういう映画好きなんだね。イメージなくてびっくりした」

「うん、父親がこういう映画好きでさ。付き合ううちに私もハマって、このシリーズは第1作目から映画館に来て観てる!」

「第1作?ってことは10年前……10歳から?すごいね。俺見始めたのここ3年くらいなんだよね」

「えっ!?あっ、うん!!」



あ、危ない危ない!うっかり『大学卒業する頃に』って言いそうになっちゃったよ!

そうだ、私は20歳、10年前は10歳……。暗示をかけるように心の中で呟き、彼方くんと街を歩いていく。