「じゃあ、ラクな方選ぶか?」
「え?」
ラクな方……?
その言葉の意味が分からず、首を傾げる。すると北見さんの大きな手は、私の手をそっと握った。
「俺に、しない?」
「え……?」
それって……北見さんを、選ぶって。つまり……?
「俺はずっとお前のことが好きだったよ。年下男との話を聞いても、お前が幸せならって諦めた。……けど、そうじゃないなら諦めつかねーよ」
真面目な顔と、しっかりと握られた手から伝うのは、彼の本気の気持ち。
「俺ならお前より年も近くて、同じ社会人だし周りにあれこれ言われることもない。俺のこと嫌いじゃないなら、俺にしろよ」
突然の、その言葉。驚いてしまうけれど嫌ではないはず。なのに、頷けないのはどうしてだろう。
確かに、北見さんなら年も近い。二つ年上で、同じような社会人で、周りからなにか言われることもないだろう。だけど頷けない。
戸惑い、驚き、それ以上の理由は。



