嘘から始まった私の恋。最初は自分の年齢すらも正直に言えなかったのに、今では“30歳の私”として堂々としていたいと思う。
そうやって大きく私を変えてくれたのは、彼方くんなんだよ。
彼方くんの隣だから、ありのままの自分でありたいって、願う。
それから数日、他の人より少し出遅れたお正月休みを過ごし、ついにその日はやってきた。
「新年あけましておめでとー!かんぱーい!」
「かんぱーい!」
都内のとあるカラオケのパーティルームを貸し切って、開かれた新年会。
そこにはずらりと並ぶポテトや唐揚げ、お菓子などの油系の食べ物たちとジュースやカクテルなどの飲み物。そして部屋を埋め尽くすのは、わいわいとはしゃぐ、自分より10は年下であろう男女……。
「はい!七恵ちゃんも乾杯!」
「か、乾杯……」
永瀬くんや多田くんも気を遣ってかにぎやかに接してくれてはいるけれど……。
しょ、正直気まずい……!!
「永瀬ー、あたしたちも乾杯したーい」
「はいはい!みんな乾杯!」
「かんぱーい」
きゃっきゃとはしゃいでグラスを合わせる女の子たちは、どの子も濃い化粧に髪色は明るくスカートは短く……開かれた服の胸元に、同性ながらも目が向きぎょっとしてしまう。
首もと寒そう!足も……生足!?すごいなぁ、冷えたりしないのかな……ってこの感想、おばちゃんっぽい?
膝丈のボルドー色のスカートに黒タイツという地味な自分の足元と比べ、隠したくなってしまう。



