うそつきは恋のはじまり




「永瀬くん、多田くん。一緒だったんだね」

「うん。七恵ちゃんは仕事大変だったんだって?年末年始なのにねー」

「今回はたまたまトラブルで。さすがにちょっとまいっちゃったけど」



少し距離を置いた位置にいたふたりは、笑いながらこちらへと近付いた。



「んじゃ、お預け食らってた分今夜は彼方とラブラブチュッチュしちゃうってわけだ?」

「えっ!?」

「永瀬。その言い方セクハラ」



ら、ラブラブチュッチュ!?

からかう永瀬くんに、思わず顔を赤くすると隣で多田くんが冷静に突っ込む。



「あ、そういえばさ今度新年会あるんだけど、七恵ちゃんも一緒にどう?」

「へ?新年会?」

「みんな結構学校外の彼氏彼女連れてくるからさ。人数多いほうが楽しいし、よかったら」



永瀬くんからの突然の誘いに戸惑ってしまう。

大学生たちの新年会……ってことは、若い子たちだらけの新年会ってことだよね。そんなところに私が行ったら浮いちゃうかもしれない。けど……。

ちら、と見た隣の彼方くんは『どうする?』と私の意思に任せるように笑顔で首を傾げる。



浮いてしまうかも、『こんな年上と付き合ってるんだ』って思われるかもしれない。けど。



「い、行く!行きたい!」

「おっ、マジ?んじゃ場所とか時間は彼方から連絡回して!」



力強く頷くと、三人は笑顔で了承してくれた。



緊張する、気まずいかもしれない。けど、変わるんだ。

嘘をついたり、隠したりしない。自分からも堂々と『彼方くんの彼女なんだ』って言いたい。



……ま、まぁ、また服装に悩むことにはなるんだろうけど。

自分の心の小さな変化に、一歩踏み出せた気がした。