そう考えながら、着いた駅で電車に乗る。
お正月の夕方ということであまり混んでいない電車内。疲れと安心感でどこかふわふわとした足取りになってしまう。
早く彼方くんに会いたいなぁ……たった数日会えないだけでこんなに寂しいなんて。
早く『七恵』って、ぎゅっとしてもらいたい。
「七恵?」
そうそう、こんな風にやさしい声で……、って、え?
幻聴ではなく確かに聞こえたその声に顔を向けると、そこにはきょとんとこちらを見つめる彼方くんの姿があった。
「かっ、かっ彼方くん!!?」
「久しぶり。仕事終わったんだね、お疲れ様」
な、なんでここに!?驚きに言葉を失っていると、彼はにこりと笑い私の頭をぽんぽんと撫でた。
あ、会えたのは嬉しいけど、私こんな格好で……!せめて顔くらい会社で洗ってくればよかった!
でもあぁ、眩しい笑顔。やさしい手。なんて癒されるんだろう、なんて素敵で輝かしくて……。
「私のオアシス……!!」
「へ?」
数日ぶり、しかも疲れ切っていることもあり余計に眩しく見える彼に、両手を組み拝むと彼方くんは当然意味が分からなそうに首をかしげた。



