うそつきは恋のはじまり




それからは、ひたすらバタバタと慌ただしい日々。

商品部、出荷業務部と部署関係なく社員皆が駆け回る。当然私も同じく、パソコンへの入力に伝票記入、倉庫への確認……と始発から終電まで仕事に追われ、最後には北見さんたちと会社に泊り込み……。





「っ……終わったー!!」



ようやく片付いた仕事にその場の社員全員でバンザイをして声をあげた頃には一年は始まりを迎え、1月2日となっていた。

結局カウントダウンも元旦も会社で過ごすことになっちゃったけど……それよりも今は仕事を終わらせた達成感でいっぱいだ。



「終わったー!終わったよー!」

「やったな!皆お疲れ!」



開放感に溢れ、部署内のあまり親しくない人ともハイタッチをしてしまう。



「この後飲みに行く人!」

「はーい!行く行く!」



盛り上がり飲みに行く約束をするみんなに、私は一方でそそくさと荷物をまとめ帰り支度を始めた。



「あれ、川崎は行かないのか?」

「はい、生ビール飲みたいところですけど……それよりも早く彼方くんに会いたいんで!」

「はいはい……また年下男ね」



呆れる北見さんに「じゃ!」と手をふり会社を飛び出した。



やった、終わった、彼方くんに会える!とりあえず彼方くんに『仕事終わったよ』ってメールして……一度帰ってシャワー浴びてからじゃないとさすがに会えない!

昨日は会社に泊り込んだから服もヨレヨレ、化粧もボロボロだし……。