「えっ……変とか、思わない?」

「なんで?変なの?」

「う、ううん。でもよく『子供じゃあるまいし』って周りから言われるから」



その私の言葉に、目の前に立っていた彼は視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。



「けど、可愛いものは可愛いんだから、いいんじゃない?」



覗き込むような、丸い瞳。それは彼の純粋さを映す。



な、な、な……

なんて王子様のような男の子……!!



完璧なフォローに、目と目を合わせて話す、という高度な技を自然に出来てしまうなんて……なんてよく出来た子なんだろう。



「けど会えるならお礼くらい持ってくればよかった」

「え!?いい、いらないよ!貰えない!」

「なんで?あ、迷惑?」

「いっいえいえいえ!そういうわけじゃないんだけどっ……あっ!隣どうぞ!座って!」



どうせもうすぐ着いてしまうけれど、目の前にしゃがみ込ませたままというのもどうかと思う。

そんな気持ちから隣の席を手で指す私に、彼は「じゃあ、」と隣へ座った。



……自分で席を勧めたけれど、と、となりに、こんなに綺麗な男の子が……!

ガタン、ゴトンと走る電車の中、少し揺れたら触れてしまいそう。いやむしろ触れたい。

けど触れたらさすがにおかしいと思われる?少し優しくしただけでつけあがっていると思われる??



あぁ、もう余計なことばっかり考えちゃう……!



そんな私の気持ちは当然知らず、彼はゴソゴソと自分のリュックをあさる。