うそつきは恋のはじまり




「ケガ、大丈夫だった?」

「へ?あ……あぁ!すり傷!?う、うん大丈夫!全然元気!、」



あぁ、これを確認したくて手をね!つかんだのね!

いちいち勘違いする自分、落ち着け!



「それにあなたのせいじゃないし……ほら!すり傷が出来たおかげでこんなに可愛い絆創膏貼れちゃった!」



少し気にしてくれている様子の彼にフォローをしたつもりで言う。けれど、上手くフォローになっていない気が……。



「へー……ところでその絆創膏、」

「あっ、うん!ケティちゃん!知ってる!?この前雑貨屋さんで見つけて、可愛くって即買いしちゃったの!普通の絆創膏のほうが質はいいんだけど、可愛さには勝てないっていうか……」



って……いきなりなに話してるの私ー!!

いくら好きだからって、こんないきなりペラペラと……!しかもいい歳してキャラクターの絆創膏とか、ガキくさいって思われるかも!



好きなケティちゃんの話題、となればついペラペラと話してしまってから、はっと我に返り自分の口を塞ぐ。



「あ……えと、そんな感じで……」



冷静になり勢いを失う私に、彼は私の絆創膏を無言で見つめた。かと思えば、ふっとこぼされた笑み。



「うん、可愛いよね。それ」



それは予想とは違う、優しい笑顔。不意打ちのその表情に、心がドキッと鳴る。