「でもその男の子、すっごく綺麗な顔しててね!一見かわいいんだけど、かっこいい感じもあって、顔なんてこんなちっちゃくて!」
「なに、また年下男?好きだねぇ」
「え!?ちがうよ!そういう意味じゃなくて!」
思い出すのは、昨日のあの男の子のこと。
ドン引きしてた顔と最後の何か言いたそうな顔しか覚えてないけど……それでもやっぱりかっこよかった。
けど大人っぽかったし、大学院生とかかなぁ?だとしたら、7つくらい下?わぁ、差を感じるなぁ……。
「まぁ、もう会えることもないだろうから美しい思い出として胸にしまっておく」
「そうだね、実際再会して頭の中身すっからかんなバカ男だったりしても嫌だしね」
「人の綺麗な思い出を壊そうとしないで!!」
莉緒、絶対面白がってるよね!?
でも、そう。私は普段はあんなに遅い時間の電車なんて乗らないから、もう会う機会もないと思う。
会ってもどんな顔をすればいいかわからないし、それ以上どうなりたいわけでもないし。
美しい思い出として、か……。
うん、そうだ。それくらいでいい。自分の心に言い聞かせた。



