「あ、携帯にこの前のプリクラ貼ってるんだ」

「えっ!う、うん」



み、見られた!恥ずかしい!



「いい歳してって……思った?」

「ううん、むしろ」



すると彼方くんは、自分のリュックのポケットからがさがさと何かを取り出した。それは、定期が入っている茶色い合皮のパスケース。

よくよくみれば、クリアポケットには私が携帯に貼っているものと同じプリクラが一枚はさんであった。



「同じ価値観って、いいよね」



浮かべられた笑顔に、思わずこぼれた笑み。



恐れることなんてなかった。そのままでいい。ありのままの自分で、ありのままの想いで、彼を愛そう。

嘘つきからはじまった恋は、今、嘘のない恋に変わる。



あたたかな心で、ふたり額を寄せて愛を抱きしめた。